ダイオキシン訴訟情報3号(翻訳編集責任、和田正名 2005年1月18日)
きょう18日に、被告の会社側にたいする反論書が裁判所に提出されます。これを報じた、きょうの「トゥオイ・チェー」によると、2月28日の法廷での最初の弁論に、ベトナム被災者も何人か、渡米して参加するそうです。
今回は、反論書作成準備などでベトナムにきた、アメリカ人弁護士のインタビュー記事の仮訳を紹介します。
なお、先に「ダイオキシン/ベトナム」のウェブサイトがアクセスできないと伝えましたが、16日の「故障中、待ってくれ」というメッセージのあと、17日に復活しました。しかし、とくに新しい情報はありません。
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電子ニャンザン2005年1月6日
ジョナサン・C・モーア弁護士
「私は戦勝の日を待ち望んでいる」
ベトナム・オレンジ剤被災者の権利を守る重要な仕事で多忙な1年中のなか、再びベトナムに来たアメリカのジョナサン・C・モーア弁護士は、決められたわずか3日間、ハノイで、 被告(アメリカの化学物質製造37社)の意見への回答書と、2月の双方の弁護士間の最初の訴訟論争について、ベトナム・オレンジ剤被災者の会ととともに作業した。
問い:弁護士さん、訴訟に関連した最新の進行情報は?
答え:ベトナム・オレンジ剤被災者の会が2004年1月31日にニューヨーク、ブルックリンの連邦裁判所に告訴状を提出して以後、アメリカの化学物質製造会社の弁護士は、ベトナム側の告訴状への反論を何度も提起してきました。彼らが挙げた理由は、被告の米社が製造した化学物質はアメリカの法律に違反しないというものです。
ウェインスタイン裁判長の決定によれば、原告と被告は6カ月かけて法廷への提起の準備をします。われわれは来る1月18日に、被告側の理由に回答するためにたいへん活発に作業をしているところです。法廷は検討を終えたのち、告訴を受け入れるかどうかを決定して、2月のあと、おそらく来る3月に予告します。もし告訴が認められれば、法廷は書類を受理して審理をすすめます。しかし、われわれはこの困難な段階は乗り越えて告訴は引き継がれると信じています。もっとも重要なことは、各社が製造した化学物質と人間の病気との関係を証明するための確実な証拠、証明を見いださなければならないことです。
問い;訴訟は長引き、10年さえかかるかもしれないという多くの意見がありますが?
答え;非常に判断しにくいです。思い起こしますが、最初アメリカの元兵士がアメリカの化学会社を告発したのは1979年で、1984年になって、つまり5年かかって、告訴は解決しました。しかし、当時から現在までにことが終わっていない告訴元兵士もいます。このように、告訴は何年も長引くかもしれないし、何十年かかるかもしれません。
問い ベトナムの依頼人を擁護する弁護団について何がいえますか?
答え われわれは、カリフォルニア、アラバマ、ミシガン、ニューヨークなどいろいろな州からの10人以上から成っています。他にもさらに、書類の準備やわれわれの手伝いに参加している非常に多くの人たちがいます。私の同僚弁護士は優れた経験豊富な人たちです。たとえば、アラバマからの二人の弁護士です。彼らは、アメリカの化学物質製造会社に数十万ドルの賠償を要求する州内のある個人の事件で勝利したことがあります。
私自身は、28年の弁護士歴があります。私の父はかつてベトナム戦争に参加し、その後私もアメリカでの反戦運動に非常に多く参加しました。私はいま、ムーア&グードマン弁護士事務所で仕事をし、人権に関連した事件の専門で、ほとんどすべて勝訴しています。しかし、「あまり普通ではない」訴訟、とくに今度のような訴訟は、人力でも財源でも、いっそうの多くの力源を掘り起こす必要を感じています。ベトナム側はもっと多くの弁護士が必要です。
問い みなさん方は、未成功の訴訟にいかなる報酬も受け取らないといわれていると聞きますが?
答え それは難しくない同類者としての感情です。われわれはベトナムのオレンジ剤被災者に深く共感しています。アメリカの化学会社は裕福で、高い値段で弁護士を雇うために多くのお金を支払っています。ベトナムにはこうした能力はありません。われわれは、双方にとっての「平等なグランウンド」をつくりたいと望んでいるので、自発的にまだ報酬を受け取っていません。弁護士になる約束をしたとき、重要なことはあらゆる人に正当な権利をもたらすことです。化学物質各社は、きわめて有害で、人間にどのように重大な作用を及ぼすかを明確に知っている毒薬を製造し、それでも彼らは故意に知らぬふりを続けたのです。これは承認できないことで、完全に間違いです。
問い 弁護士の立場で、訴訟を引き受けたとき、どこに障碍があるとご覧になりましたか?
答え 距離です。ベトナムとアメリカは地球を半周するほど離れていますから、連絡、書類の伝達、往復に多くの時間がかかります。その他、言語や文化も違います。
問い 昨年7月に最初のベトナム訪問をされて、仕事で理解を深める助けになりましたか?
答え、印象深い旅でした。われわれはベトナムの至る所、とくに、戦争中にもっとも多くの毒薬物質の撒布を何度も受けた場所であるフエ、ドンナイなどの激災地で、オレンジ剤毒薬被災者と会う機会をもちました。旅は、ベトナムでのオレンジ剤の汚染にさらされた状況についての全体像をわれわれが得ることを助けてくれました。人間へのオレンジ剤の影響は第3世代にまでわたっていました。オレンジ剤に冒された多くの方が亡くなっていました。
問い もし訴訟がながびいても、あなたや同僚の方々は追求し続けられますか?
答え われわれは中途で止めはしません。訴訟に加わることを引き受けたら、弁護士はなによりもまず、彼が正しいとみたことを擁護することを認識します。次に、勝訴する可能性について判断しなければならなりません。そのように確定したのち、最後のことは戦勝の日を目にすることを待ち望むことのです。その日は、ベトナム人民のこのうえない日となるでしょう。
(トゥオイ・チェーから転載)
(1月15日 和田正名仮訳)