アジアの方がたとの交流

今回のお手伝いはとても良い経験となりました。
 ニューヨークやダブリンでもよく長崎の原爆のことについて訊かれました。「何人の人が亡くなったの?」「建物は今はどうなっているの?」「あなたは大丈 夫なの?」いろいろな国の人達から質問されるたびに、世界には長崎の原爆の悲惨さについては詳しくは知られていないのだということがわかりました。また 「日本」について、細かい面積や人口密度などあらゆることを尋ねられ、恥ずかしながら、うまく答えられず、悔しい思いをしました。そこで、私は日本をもっ とよく知るべきだと思いました。
 今回の東南アジアの方々との交流は私自身もう一度、被爆地長崎の出身者として平和を伝えることをしなければと考えさせられた善い機会でした。とくに被爆 者の方のお話はとてもリアルで心に残っています。つたない通訳をしつつ、同時に被爆者の貴重な体験を聴くことができてよかったなと思います。
 東南アジアの方々と会うことで、韓国への日本の侵略やベトナム戦争、、、etc.などといったアジア各国でうけている戦争がもたらす悲劇についても考え させられました。そして、私の知らない実情、また各国が行っている平和教育活動について知ることができてよかったです。とても参考になりました。
 高校生の草の根の動きは、じわじわだけれども、確実に世界の人々に伝わっているのだと思います。そして若い頃の経験はきっと未来に受け継がれると信じて います。私が去年アメリカにいた3月、イラク戦争が始まりました。その時のニューヨークの市民(その中にはイラク人、ヨーロッパ人、アメリカ人を始め、あ らゆる人種が混じっていました。日本人も)の反対運動はほんとうに大きいものでした。また、ニューヨーク郊外の老人ホームを訪ねたとき、ある患者さんが 「わたしたちは馬鹿な大統領をもったもんだ」と話してくれたことが印象的でした。アメリカの方々も戦争の無意味さを承知している人は大勢いるのだと思いま した。残念ながら、戦争は勃発しましたが、ろうそくを持ち戦争反対を訴えたあの活動にはとても意味があるのだと思いました。
 私たち日本人は戦争や被爆について世界でも貴重な体験を持つ国です。だから私たち自身がそのことに興味を持ち、まずは「知る」ことが大事だと実感してい ます。そのあとにそれを「伝えること」や、ひいては「平和活動」へと発展するような気がします。
 私を含めて、身の回りのことに精一杯すぎる、忙しすぎるのはとても視野の狭い人をつくりだすように思えます。たまたま私は長崎に生まれ、原爆を思い出さ せる8月9日があること、平和を世界に発信する機会があることに感謝しています。東南アジアの方々にお会いして、知っていたつもりの長崎をさらによく知る ことができました。
 通訳の方の的確な英語、日本語の変換にとても感動しました。私も英語をもっとブラッシュアップしなければ!と良い刺激になりました。
 みなさまおつかれさまでした。そして、ありがとうございました。

 田川 優美子